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1998年11月に設立された株式会社インフォシークは、2000年12月、米Infoseek Corporationから親会社が楽天株式会社に代わった。 そして、2002年1月同社代表取締役社長に就任した森学氏は、社内の組織改革に着手。 2ヶ月目からの黒字転換を果し、2002年12月には同じく楽天傘下となったライコスジャパン株式会社の代表取締役社長にも就任する。 同氏が手掛けた改革とは。 これからのポータル、そしてブロードバンドについて、森学氏に直接話を伺った。
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 ◆インフォシークに入社されたのが、2000年ということですが、それまでは何をされていたのでしょうか。

 前職は出版の宝島社に勤務しておりました。 SEとして会計システムなどを設計していましたが、編集業務にも携わることができました。 ちょうどその頃にインターネットが注目されはじめてきて、インターネット事業の立ち上げにも参加しました。


 ◆その後インフォシークには、一般入社されたわけですか。

 はい。2000年に入社して、一年後に編成部長になりました。 業務としてはずっとコンテンツ関連のマネジメントをやってきましたね。


 ◆その頃、インフォシークの親会社が楽天になりますよね。社内の雰囲気とか、大きくかわったことは無かったんですか。

 変わるんだろうなとは覚悟してたんですけどね。 実際現場では特に大きな変化はなかったですね。


 ◆その後社長に就任されるわけですが、ここを変えてやるとか、そういった思いというのはあったんですか。

 とにかくまずは収益性を上げる事を考えました。 営業が売ることで事業が成り立つわけですから、そのためにまずは、サービス別の損益採算性を徹底させました。 サービスを4つのチームに分け、チームごとにサービスの状況と問題点の把握、どうやってより多くの収益を確保するかに注力しました。 広告についても、どこで収益が上がっているのか、上がらない場合は何が足りないのかを追及するようにしました。 その成果は、すぐに出ましたね。それまで、単月の収支はトントンだったのが、2ヶ月目からは黒字に転換して、それからは伸び続けています。


 ◆それは凄いですね。逆にいうと各プロジェクト毎に独自判断できる権限があるわけで、そう考えると出版社内の各編集部に近いですね。どこか意識したところはあるんですか。

 そうですね。 まさに出版社の編集部に近いですね。 宝島社時代の経験が多分に活きていると思いますよ。 編集長が一冊の本のコストや売上を考えるのと一緒なのではないでしょうか。 会社の規模が大きくなると、どうしても責任の所在が曖昧になりがちですからね。 プロジェクトごとに責任を持たせる訳ですから、売上が上がらないと担当者は困るわけです。 そうすると、自然と営業と制作など部署を跨いで人間の連絡も密になる。 会社全体としては好循環が生まれてますね。


 ◆インターネット業界で、そのような体制というのは珍しいですよね。

 今はどうかわかりませんが、当時は珍しかったと思います。


 ◆やっぱり、出版とインターネットのサイト運営ってやっぱり近い部分、学ぶところが、たくさんあるんでしょうね。

 私も出版業界出身ですが、例えば出版のように100年も続いている業界には、良い先輩という人が本当にいっぱいいる。 でも、インターネット業界というのは、まだまだ若い業界ですから、そういう良い先輩がまだ少ないですよね。 これから、もちろん沢山生まれるとは思いますけど。 だから、もっと他の業界からの流入が増えてほしいし、そうすることで、インターネット業界全体の幅が広がると思うんですよね。


 ◆他の産業や業界を考えると、本当にまだ若い業界ですよね。それにしても、突然会社のトップに立って、100人を越える規模の組織を改革するというのは大変ですよね。なにか苦労したこととかはなかったんですか。

 それはありますよ。 プロジェクトごとに権限を与えることに決めたときも、しばらくすると、投資する段階で守りに入ってしまう傾向が出てきたんですね。 各プロジェクトの責任ですから、できるだけリスクを背負いたくないというのは当然のことなんですけど、そうなると会社全体で大きな投資をする必要があるわけです。 そのあたりはちょっと考えましたね。今では大体の場合、プロジェクトの立ち上げ時に会社として大きな投資して軌道に乗せてしまうという形で展開しています。


 ◆収益の柱となっているのは広告になるのですか。

 そうですね。 あとは課金ビジネス、ターゲティングメール、リサーチというのが伸びてきている段階です。 広告でいうとTVが年間2兆円、新聞が1兆円、雑誌が4000億円、ラジオが2000億円というのが4大メディアの市場規模と言われていますけど、インターネットはまだ、800億〜1000億円の間くらい。 でもこれは、まだまだ伸びると思います。 将来的には3000億円くらいの規模にはなると思ってる。 ブロードバンド化で、インターネットの使用時間というのどんどん長くなってきているし、今後は、モバイルとか外で使う機会も多くなっていくと思いますね。 そうなると、インターネットの市場規模が、ますます大きくなるというのは確かですね。


 ◆でも、大手ポータルサイトの中で特徴を出していくのは難しいですね。

 それは大きな課題です。 インフォシークの場合だとユーザ層にビジネスパーソンが多いのが特徴の1つになっているので、例えば翻訳であったり、辞書であったり職場で利用しやすいサービスは意識しています。 あとは、検索エンジン自体が自社開発ですので、マルチメディア検索など独自の検索サービスというのにも力を入れています。 もう、大手ポータルと言われるところで検索エンジンを自社開発しているところはなくなってきましたが、この部分については、とても大切にしています。 エンジン開発にはそれだけの投資をしてきましたし、今後も自社で開発していく方針です。 実際、ブラウザのツールバーにインフォシークの検索窓や各種サービスが付く「インフォシークツールバー」というサービスも大変好評ですし、検索結果に表示されるサーチワードテキストという広告も、以前から提供している独自の人気メニューのひとつなんですよ。


 ◆なるほど。自社開発であることから、様々な付加価値も生み出してこれた訳ですね。マルチメディア検索というのは、動画であったり、音楽であったりの検索ということですよね。

 そうですね。 純粋なHTMLファイル以外にも様々なファイルの検索が可能になっています。 さらに開発を続けていますので、これからますます進化していく予定です。


 ◆まさに、ブロードバンド対策ですね。

 ブロードバンドという意味では、まだ色々実験していく段階ですね。


 ◆あまり積極的ではないと・・・。

 インフォシークではメインのユーザ層がビジネスパーソンなので、本当に便利なものを提供していくことが大切だと思っている。 そういう意味で、慎重な部分はあります。 逆に、昨年末に社長に就任したライコスでは、メインのユーザー層に女性が多い傾向があるので、ビジュアルの部分やいわゆるブロードバンドコンテンツにも積極的ですね。


 ◆大手ポータルサイトのうち2サイトの代表ですからね。就任にも覚悟が入りますよね。

 ライコスジャパンの社長についての打診があったときに、色々会社の状態を見ました。 その上で、「マーケットに対してこれだったら、上半期中に間違いなく黒字化できるだろう」と思えたので決断しました。 その分忙しくなりましたけど、毎日とても充実しています。


 ◆2社ともそうですが、親会社が楽天ということについては如何ですか。

 まず直接的な意味では、ショッピングコンテンツでの連携があります。 お互いのユーザを誘導できますし、コンテンツとしても補完しあえる。 あとは、楽天グループとしての特徴づけの1つで、年内にはポイント制を導入する予定です。 まだどんな形になるかは、詰めているところですが、例えば検索したら楽天でのショッピングに使えるポイントが貯まっていくとか。 他のポータルではなかなか難しい、付加価値というのをユーザの皆様に提供していけたらと考えてます。


 ◆最後に、ブロードバンド時代について何かイメージするところがあれば教えて頂けますか。

 1つだけ確かなのは、ブロードバンド化によって、データの通信量が増えたわけですよね。 そうしたら、使う時間というのが長くなった。 さらに、インターネットに接続する人数も増えた。 つまり「通信量×使う時間×人数」でより情報が氾濫する時代になるということですよね。 そうなるとやっぱり、検索だと思いますね。


(取材日:2002年4月15日)


■プロフィール

森学(もり・まなぶ)

1964年12月7日東京都生まれ。
1984年東京コンピュータ専門学校卒業。
1987年株式会社宝島社入社。
2000年株式会社インフォシーク入社。
2001年、同社編成部長就任。
2002年1月11日、同社代表取締役社長(現職)に就任。
2002年12月21日、ライコスジャパン株式会社代表取締役社長(現職)に就任。

■企業データ

株式会社インフォシーク
設立:1998年11月
代表取締役社長:森学
資本金:20億円
本社:東京都目黒区中目黒2-6-20 4F
TEL:03-3710-2266 FAX:03-3710-2530

■関連サイト

株式会社インフォシーク
http://www.infoseek.co.jp



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